「炭素」の問題じゃないの?と思われるかもしれませんが、炭素と同じように、「窒素」が世界的な問題となっています。日本では、ニュースなどで窒素の問題が扱われる機会は、炭素と比較すると少ないように思います。説明するのが難しい問題だからでしょうか。重大な社会問題が知られていないというのは問題です。
窒素の何が世界的な問題になっているのか。
窒素(元素記号N)は、生物が体をつくるために欠かせない元素のひとつです。また、ガス(N2など)として大気中に多量に存在します。窒素は私たちにとって身近な存在で、例えば、畑→作物→人間→大気・川・海・・・と、自然界を循環しています。
しかし、家畜の糞尿や畑にまいた肥料など、人間の活動が生産・廃棄した窒素が、窒素の循環量を増大させ、酸性雨や地球温暖化、赤潮などの原因となる海の富栄養化など、環境に影響を与えているという問題が生じています。
「ドイツ連邦環境庁(UBA)は、森林、ヒース、地表水などの生態系はこれまで考えられていたよりも大気中の窒素汚染に敏感であるという、同庁が主催する組織が作成した報告書」を2022年10月に公表しています。
出典:国立研究開発法人 国立環境研究所 環境展望台ウェブサイト(https://tenbou.nies.go.jp/news/fnews/detail.php?i=34604)
畑の肥料を減らせば、窒素は減りますが、肥料を減らすと、作物の収穫量が減ります。この悩ましい問題の解決方法として、窒素を回収して再利用するという方法があり、この分野で日本は世界をリードできる可能性があるといわれています。
窒素の回収や再利用技術を用いた、窒素の循環型利用の仕組みづくりはこれからとのことですが、再生可能エネルギー全般に言えることとして、再生可能エネルギーは効率がよくないことが多く、また、手間がかかることもあります。デジタルの活用と、皆の協力というエネルギーが必要です。
また、窒素化合物の「アンモニア(化学式は「NH₃」)」は、脱炭素のためのエネルギー源として注目されています。アンモニアは臭いがあり、PM2.5の原因になるなど、有害な物質ではありますが、有用な物質でもあります。廃棄という概念のない循環型社会の実現のためにも、デジタル社会の早期実現が望まれます。

